サヤ取りとは?
FXのスワップポイントは業者ごとに異なっており、
買いスワップポイントが高い業者
もあれば、
売りスワップポイントが買いスワップポイントよりも安い業者
があります。
例えば…
A社で【ドル/円】の買いポジションを保有した場合、1日でプラス80円(仮)のスワップポイントが得られ
B社で【ドル/円】の売りポジションを保有した場合1日でマイナス70円(仮)のスワップポイント引かれる
と言った感じです。
つまり、A社で買い、B社で売りを同時にした場合、スワップポイントは
「80円‐ 70円 =10円プラス」
になりますよね。
この仕組みを利用して
◎同じ通貨ペアを両建てで保有し
◎スワップポイントの差額だけを得る!
というトレード手法が”サヤ取り”で、他にも”アビートラージ”や”裁定取引”などとも呼ばれています。
図で説明すればこういう事(例)
また、サヤ取りは、スワップポイント差が得られるだけでなく、
同じ通貨を「売り」と「買い」しているため、通貨価値の変動で損失を出すことがなく、損益を相殺できる
という点でも注目されている手法になります。
図で説明すればこういう事(例)
このように”サヤ取り”はスワップポイントの差額をコツコツ入手しつつ、通貨価値の変動を気にすることなく確実に利益を得ることができるのです!
※強制ロスカットなど管理不足によるリスクはありますので注意してください。リスクは後ほど紹介しています。
具体的にはどうやるの?
こややこしい理屈は置いといて・・・、りあえずどんなものか説明します。
いま僕は【トルコリラ円】のサヤ取りを実際に実践していますので、【トルコリラ円】の例でご説明します。
※数値は僕がポジションを取った(2019年1月)付近の仮の数値で説明します。
僕が【トルコリラ円】の買いポジションを取った業者
⇓⇓⇓
みんなのFXさん
≪スワップポイント≫
(1万通貨保有でもらえる金額)
買い+120円(仮)
僕が【トルコリラ円】の売りポジションを取った業者
⇓⇓⇓
GMOクリック証券さん
≪スワップポイント≫
(1万通貨保有で支払う金額)
売り-80円(仮)
①、まず、2つのFX業者
≪みんなのFX≫
≪GMOクリック証券≫
と契約する
↓↓↓
②、次に、みんなのFXで
通貨ペア【トルコリラ円】
を10万通貨「買う」
※必要な証拠金83,000円(仮)
↓↓↓
③、今度はGMOクリック証券で同じ
通貨ペア【トルコリラ円】
を10万通貨「売る」
※必要な証拠金83,000円(仮)
↓↓↓
④、この場合、みんなのFXでは
スワップポイント
+1,200円/1日
が得られ、GMOクリック証券では
スワップポイント
−800円/1日
が減額される。
つまり、スワップポイントの差
1,200円-800円=400円
が1日でプラスになるということです!
⑤、ちなみに1年間(365日)保有していた場合は
400円×365日=
146,000円
※スワップ金利が変動しない場合
の利益が出る計算になりますので
必要証拠金
83,000円 × 2=
166,000円
でこれだけの利益を得られたことになります。
※レバレッジ最大での計算ですので、実際にはもっと資金が必要となります。
図で説明すればこういう事
相場が暴落したら損をしないの?
サヤ取りの仕組みは分かったけど、相場が暴落したら損しないの?と思われる方もいると思います・・・。
例えば、10万通貨を両建てで保有していた際
【1トルコリラ20円】が⇒【1トルコリラ19円】
になったとします。
そうすれば買いポジションは一気に-20万円の含み損を抱えてしまいます。
大変ですよね・・・(;’∀’)
しかし!!
買いポジションがマイナスの時は売りポジションが+20万円になりますので、損益を相殺できるのです。
※スワップポイントの増減は無視した計算です
図で説明すればこういう事
リスクは無いの?
何度も説明しておりますが、どんな投資にもリスクはあります。両建てスワップ取引にも下記のようなリスクがありますので、もしこの手法を試してみようという方は必ず目を通してください!
リスク①:スプレッド
ご存知だと思いますが、FXでポジションを取る際には”スプレッド”と呼ばれる手数料が発生します。
例えば【トルコリラ円】の場合、「1.8銭」くらいのスプレッド(手数料)が発生しますので10万通貨を取り引きすれば1,800円の手数料が発生します。
つまり、一度ポジションを持てば2業者の手数料(例:1,800×2)が損失になるので、この損失をスワップポイントで補わなければないことになります。
上で説明した条件であれば、1日400円ですので、約10日はスワップ金利の返済に充てなければなりません。
リスク②:注文が通らない
この両建て手法では、含み益と含み損の均衡を保つために、2つの業者間で”同価格”の「買い」と「売り」注文を出さなければなりません。
しかし、通信状況や業者のシステム問題などで一方の注文が通らなかった場合、その差額分がマイナスになる可能性が高いのです。
この両建て手法は多くのポジション数で小額のスワップ金利差を稼ぐ手法ですので、一瞬の時間差が大きな差額になり、差額を取り返すだけでも一苦労という結果にもなりかねません。
ただ、このリスクについては、”全ての市場が閉まった時間帯”など、通貨の動きが少ない時間帯を狙ってエントリーすれば比較的軽減できると思います。
リスク③:ロスカット
FXで通貨を購入する際には保証金を入金した上で、保証金率に見合った量の通貨を購入することができます。
そして、保証金率がある一定を下回った場合、持っているポジションが強制的に解約させられることがあるのです。
これを「ロスカット」というのですが、高いレバレッジ(倍率)で取引している場合などは、ごくわずかな価格変動でロスカットされる危険性が高まります。
先ほど、この両建てスワップ取引では一方の業者に大きな含み損が出た場合でも、もう一方の業者の含み益で相殺できる。と説明しました。
しかし、もし含み損が膨らみすぎてロスカットされてしまったら・・・。価格が相殺されないばかりか、買いなおす(売りなおす)にもまた手数料がかかってしまいますので、コツコツ稼いだスワップ金利差にとっては大きな痛手となります。
なお、このリスクについては”資金に余裕を持って取引する”、”高いレバレッジはかけない”、”ネットバンキングや即時入金を利用し、迅速な資金の動きを確保しておく”ことで軽減できるのではないかと思います。
リスク④:資金が倍、必要となる
サヤ取りは売りと買いを同時に行うことによって、通貨価値の影響を受けることなくスワップポイントの差額が得られます。
つまり、2つの異なる業者の口座にそれぞれ同じ額の資金を投入しなければなりません。
このため、たの手法に比べたら資金効率はあまり良くないと言えます。